2006年 12月 20日
ベートーヴェン 交響曲全集 ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ウィーン国立歌劇場合唱団 ロンドン SLX7-2 ’65~69録音 英デッカ/ロンドンの栄光と威信をかけて制作された、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団初のベートーヴェンの交響曲全集である。ベートーヴェン生誕200年を期しての発売に、四年間という長期間を費やし、完成された。 J・カルショウとショルティによる歴史上世界初のワーグナー<ニーベルングの指輪>の全曲録音の偉業を受けて、英デッカこだわりの録音会場ソフィエンザールでの録音である。指揮者イッセルシュテットの息子エリック・スミスがプロデューサーを担当した理想の一大プロジェクトであった。 完成された英デッカツリー方式のマルチマイクシステムにより、アナログの極致ともいえる音を聴く事ができる。オーケストラの各楽器は鮮鋭そのもの、分離は素晴らしく、色彩鮮やかに浮き上がる。弦はふくよかに、輝きと弾みを持って再現される。豊かな低弦は爽快に、歯切れよく床を這う。木管金管の濡れたような響きに、アナログオーディオの官能的美感を見る。ノイマンのコンデンサーマイク神話の確立された時代でもある。 イッセルシュテットとウィーンフィルの演奏は、古典的精緻な造形美とアポロ的調和の音楽美が見事に融合し、感性に迫る。聴いていて、心浮き立つ音楽である。真にウィーンのベートーヴェン、ウィーン・フィルのベートーヴェンと言う言葉がふさわしい。ウィーンの香気がウィーン・フィルの豊麗な美音の中に発ちこめる。 ウィーンフィルの最も美しい時代の、最も美しいベートーヴェンの記録である。 イッセルシュテットの演奏を息子E・スミスが録音するという、幸福感溢れる音楽になっている。 この頃までのLPはスタイラス・ガードもなく、ずっしり重い。これが再生音の良さと結びつく by koide 65 in #
by DRAC-OB
| 2006-12-20 18:18
| K出
2006年 12月 14日
「タンホイザー」雑感を書き連ねてみました。
≪この文章を黒田氏に捧げる≫ ワーグナーを通して小生が見たもの、「黒田」氏が行く予定の小沢の「タンホイザー」現代版 ではいかなる解釈がなされるのか、興味がわくところでもあります。 ★ワーグナーの世界に見られる宗教観は、小生のブログ「ローエングリーン」「パルジファル」でも述べてきたつもりだ。 小生にとって、「タンホイザー」は、「楽劇」としては、さほど面白みがあるとはいえないものであるが、その背景にあるものを探ってみると、面白いものがあることに気づく。 「ギリシャ神話の神々の世界への憧れ」をタンホイザーの「ヴエヌスベルグ」においてのヴェーヌス=ヴィーナスとの愛欲生活で表現するのは、キリスト教化の文化・生活の根源に、太古の非キリスト教文化への郷愁があり、それは「父権社会」への反抗と「母権社会」の復権を示唆するものだ。 教皇に許しを請うタンホイザーに対し、「杖に緑の芽生えない限り」認めないという絶対的拒否、しかしながら「若芽を吹くことになった杖」ということは、カトリックへ批判でもあるが、そこにプロテスタントのカトリック批判のダイナミズムがあるというよりは、やはり非キリスト教文化への批判なのだろう。 誰もが指摘するような「女性による救済」の対象としての「女性」ではなく(そうであれば「エリザベート」であるはずであるが、)タンホイザーが祈るのは、「聖母マリア」であることに着目したい。 小生は「聖母マリア」信仰を仕掛けたのは、キリスト教そのものであり、消し去ることが出来ない「母権社会」への復帰願望を、「父権社会」そのものであるキリスト教社会において、その母系社会復権のパワーが発揮されることによって、現状のキリスト教支配下の社会そのものが混乱しないように、彼らによって編み出された「潜在的母権社会の復帰願望封込め手段」であると思っている。 ワーグナー自身がそのようなことを意識し、意図したかはわからないが、この物語の歴史的背景には、大きな「キリスト教社会」と「非キリスト教社会」の対立概念が存在しているように思う。 「歌合戦」は、もうひとつの民間伝承に基づくものであるが、決して「歌」の上手下手で争っているわけでなく、「愛」のあり方・・・つまりそれについての社会的価値観の違いで争っているのであって、それこそギリシャ神話の世界観・価値観とそれを追い出して居座ったキリスト教的世界観・価値観との戦いであった 推測だが、ワーグナーは「ハイネ」の「タンホイザー」を読んでいた可能性があるのではないかと、小生は考えている。 「ハイネ」のキリスト教批判の目はとても鋭いものがある。 「エリザベート」は決してタンホイザーを「愛」によって救済などしていない。 なぜならば彼女は「父権社会」傘下の典型的「女性」であるから。 「聖母マリア」こそが、タンホイザーの真の救済者であり、タンホイザーはそこに「ヴェーヌス」=ギリシャ神話の世界=母権社会を見たのであった。 by sawyer1967in 追伸 泉鏡花はハイネの影響を受けているかもp知れない。 ≪シュレーゲル兄弟の一派がロマンチクと銘を打つた文学、 即ちヘルデルリン、ノヴァリス、チーク、ホフマン、アイヘンドルフ等を経て ハイネに及んだ一団の思想傾向によりて生れた文学は、畢竟夜の産物であつた。 従つて夜に生れた鏡花の小説が、百年の昔独逸に起つた夜の文学即ちロマ ンチクの文学に甚しく似て居るのも、何の怪しむ所がなからう。≫ 「齋藤野の人」の上記指摘は、とても面白いものがある。 #
by DRAC-OB
| 2006-12-14 13:51
| sawyer
2006年 12月 10日
来年3月24日、横須賀で開かれる小沢征爾の東京オペラの森実行委員会『タンホイザー』チケットをゲットしてしまった。小澤だから期待しているものの、誰か情報をお持ちであれば、お知らせください。 by K田 67入
#
by DRAC-OB
| 2006-12-10 22:45
| K田
2006年 11月 18日
関東地区DRAC-OBの有志たちの飲み会の光景。 1968入りの「今西」君から届きました。 幹事役の溝旗氏、常連の黒田氏、会長をやった長谷川京介氏、グズラのニックネームが今でも付きまとう?富士原氏、そして途中で雲隠れし40年余り時を経て復活したカメラ担当の今西氏以上の5人が出席したようです。 冨田君は欠席でしたか。 彼とはずいぶん会ってないことになります。 小生も現役時代なら、出張を作って参加することができたと思うのですが、今では東京は遠い地となりました。 写真では・・・撮られた本人たちは、恐らく気づかないと思うのですが、(自分はさておき)いずれも相当な老け具合。 下のブログにアップしてある昔の写真と比べると、40年という年月が「とてつもない時間であったことを思い知らされます。 相変わらず酒を飲むと、話題のひとつが「バイロイト行き」・・・今回もきっとその話が出たに違いありません。 果たして実現するのか、実に楽しみです。 また、昔のように酔っ払って木屋町筋を大声を出して歩き、挙句は高瀬川に飛び込む・・・なんていうことはしないと思うのですが、何を隠そうこの中の3人はその経験者です。(笑) 今回は新橋のイタリアンレストランで、ワインを似見ながらということらしいですが、ちょうど「ボージョレ・ヌーヴォー」解禁と重なりました。 さすがにイタリアンレストランでは、ばかばかしい「祭り騒ぎ」はないはずで、GOODチョイスでしたね。 どうやら年に数回は実施のようで、さらに忘年会や、新年会へと発展するのでしょうか? いずれにしろいつも京都でしか開催されないOB会や、ほとんど同じパターンのものに食傷気味のものにとっては、それぞれの単位での飲み会形式のものも楽しみですから、ぜひとも継続されんことをお祈りしています。 チャンスがあれば出席したいと思っています。 その節はよろしく。 写真提供:今西 comment by sawyer #
by DRAC-OB
| 2006-11-18 13:11
| sawyer
2006年 11月 15日
お知らせです。
歴史的な録音がついにCD化されます。 小生はモノラルでLPを所有しますが、今回このステレオでの復刻CDをぜひとも入手しようと思います。 皆さんもぜひ検討ください。 40年間LPも封印されていて、聞いたことのない方がほとんどと思いますから、この歴史に残る「ラインスドルフ」の録音を聞いてみましょう。 参考までに、下に大手CDショップのコメントをアップしておきます。 by swayer 1967in ■J.F.ケネディを追悼するミサを収めた歴史的なドキュメント 当ディスクは、64年1月19日に、ボストンの聖十字架教会で行われたJ.F.ケネディ大統領を追悼する死者のための荘厳司祭ミサのライヴ録音盤であり、死者を追悼するためのミサ曲本来の姿として、モーツァルトの《レクイエム》が演奏され、ミサの開始を告げる鐘やオルガン演奏に加え、ボストン大司教の言葉や祈りなど、カトリック固有のレクイエム・ミサ典礼が収録されているのが特徴である(なお、カトリック教徒として、初めてアメリカの大統領に就任したJ.F.ケネディの国葬は、前年の11月25日に、ワシントンD.C.で執り行われたことを付記しておきたい)。 ミサの式次第の一環として演奏された《レクイエム》に関しては、凶弾に倒れた大統領を悼む気持ちが結実した、一期一会的な名演が繰り広げられており、残響の多い教会におけるライヴ録音でありながら、ラインスドルフが、オーケストラやコーラスを巧みに統御している様子も印象的である。RCAの黄金時代を支えたプロデューサーのジョン・ファイファーとエンジニアのルイス・レイトンのコンビによって録音された当ディスクは、数あるモーツァルトの《レクイエム》のディスクの中で、もっとも伝説的な存在でありながら、その特殊性故に、なかなか再発が実現しなかったことでも有名である。今回の世界初CD化を通じて、この貴重なドキュメントに容易に接することができることになったのは、まさに特筆すべきことであると思う。 なお独唱者たちのうち、オハイオ州出身のサラメ・エンディッチ(1928~69)は、ロバート・ショウが高く評価し、主に演奏会やオラトリオの分野で活躍した歌手であり、ショウが指揮したJ.S.バッハの《ミサ曲ロ短調》のレコーディングにも参加した。ボストン生まれのエウニーチェ・アルバーツ(1927~ )は、コンサートとオペラの両面で活動。バッハやハイドンの宗教曲の録音をウェストミンスターに残している。ニコラス・ディヴァージリオは、バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルによるベートーヴェンの第9のレコーディングに参加し、オペラ歌手としても活躍。2005年にイリノイ州のシンフォニア・ダ・カメラがエネスコの歌劇《オイディプス王》をアメリカ初演した際には、ディレクターを務めた。マック・モーガンは、当録音の時期に、ボストンの声楽界で重鎮的な役割を果たしていた歌手である。 (2006年10月)[ライナーノーツより、文:満津岡信育氏] -------------------------- ※待望の世界初CD化。ケネディ大統領の追悼ミサで演奏された慟哭のレクイエム、入場の鐘から始まる式次第の全貌を完全収録。 1963年11月22日、ボストン交響楽団の公演中、ラインスドルフは演奏を中断の上、聴衆に向けて『ケネディ大統領の暗殺』を告げ、テロリストへの憤りと大統領への哀悼の意を述べたことは知られています。ここでは、1964年1月19日、ボストンでの追悼ライヴの模様を収録。昔、LPでのリリースは有りましたが、今回は待望のCD化となります。音質面での改善[ADD/STEREO/24bit/96khzリマスタリング]もあり、約40年前の貴重な音源は正に熟聴すべき1枚といえるでしょう。 ジョン・F・ケネディ追悼 死者のための荘厳司教ミサ 【曲目】 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト レクイエム(死者のためのミサ曲) ニ短調KV626 CD1 1 鐘 オルガン前奏 (F.クープラン:オルガンのための荘厳ミサ曲~マエストーゾ) 第1部 みことばの聖式 2 階段祈祷(一部) 入祭唱: レクイエム 〈永遠の安息を〉 (合唱、ソプラノ) 3 キリエ 〈主、あわれみ給え〉 (合唱) 4 集祷文 書簡 昇階唱と詠唱 続唱 5 ディエス・イレー 〈怒りの日〉(合唱) 6 トゥーバ・ミルム 〈不思議なラッパ〉 (ソプラノ、コントラルト、テノール、バス) 7 レックス・トレメンデ 〈おそるべき大王〉 (合唱) 8 レコルダーレ 〈憶い給え〉 (ソプラノ、コントラルト、テノール、バス) 9 コンフターティス 〈呪われた者どもを〉(合唱) 10 ラクリモーザ 〈涙の日〉(合唱) 11 聖福音 第2部 いけにえの聖式 いけにえの聖式(冒頭部分のみ) CD2 奉献(オッフェルトリウム) 1 ドミネ・イエズー 〈主イエズス〉(合唱、ソプラノ、コントラルト、テノール、バス) 2 オスティアース 〈いけにえ〉(合唱) 密唱(セクレータ) 3 序唱(プレファツィオ)と典文 4 サンクトゥス 〈聖なるかな〉(合唱) 5 聖変化(コンセクラツィオ・ミッセー) 6 ベネディクトゥス 〈祝せられよ〉(合唱、ソプラノ、コントラルト、テノール、バス) 第3部 いけにえの食事 7 主祷文 8 アニュス・デイ 〈神の小羊〉(合唱) 9 聖体拝領 10 ルクス・エテルナ 〈永遠の光明を〉(合唱、ソプラノ) 11 聖体拝領後の文 第4部 終了の部 オルガン後奏(L.クープラン:シャコンヌ) 【演奏】 司式 リチャード・カッシング枢機卿(ボストン大司教) 助祭 マシュー・P・ステイプルトン神父(聖ヨハネ神学校長) 副助祭 フランシス・S・ロッシター神父(聖ヨハネ神学校祭式長) 聖ヨハネ神学校生たち ベルイ・ザムコヒアン(オルガン) サラメ・エンディッチ(ソプラノ) ユーニス・アルバーツ(コントラルト) ニコラス・ディヴァージリオ(テノール) マック・モーガン(バリトン) プロ・ムジカ合唱団[合唱指揮:アルフレッド・ナッシュ・パターソン] ハーヴァード・グリー・クラブおよびラドクリフ合唱協会[合唱指揮:エリオット・フォーブス] ニュー・イングランド音楽院合唱団[合唱指揮:ローナ・クック・デ・ヴァロン] 聖ヨハネ神学校聖歌隊[合唱指揮:ラッセル・H・デイヴィス神父] ボストン交響楽団 指揮:エーリヒ・ラインスドルフ 【録音】 1964年1月19日、マサチューセッツ州ボストン、聖十字架大聖堂でのライヴ・レコーディング Produced by Richard Mohr Recording Engineer: Lewis Layton Production master tapes produced by John Pfeiffer First Release: LSC-7030 (2LP set, February 1964) 24 bit/96KHz Remastering Mastered at JVC Mastering Center, Yokohama from original sources with JVC K2 24 Bit/96KHz technology Remastering Engineer: Kazuie Sugimoto #
by DRAC-OB
| 2006-11-15 15:47
| sawyer
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